ここまでの会話から、全裸マンに戦意はない事が見て取れる。
VRMMOで培った戦闘スキル(感)がそう言っている。
何か良からぬ事をする気なら、もうとっくに手を出されているだろうし……。
人間は知的な生き物だから、話し合いで大抵のことは解決できる。
お互いが、納得できるまで私達は話し合わなければいけない。
通報は、それからでも十分間に合うだろう。
よーし、頭の中の整理がついてきたぞ。
あとは……そうだ、やるべきことの優先順位を決めよう。
まずは、
「エヴィエニスさん」
勝手に名乗ってくれた暗黒龍の本名を呼ぶ。
「ん、なんだ?」
名前を呼ばれたエヴィエニスさんは、嬉しそうに柔らかく返事をする。
名前を呼ばれただけで、こんなにも喜ぶ人に初めて出会った。
純粋すぎる反応に、むしろ私の方がうろたえた。
「目のやり場に困るので、服を着てください」
「ふく……とは何だ? 貴様が身に纏っているその布か?」

