「美結さんだったかしら?」
ルームミラー越しに見られる。


「あ、、、はい」
何を言われるんだろうと
目線を自分の膝下に落としてしまう。


ドキドキしていると
「勇吾の相手するのは
大変でしょ?」と聞かれた。


「えっ。。。あっ。。。」
予期もしてない質問に
ヘンテコな答え。


「親のわたしでも大変なのに」


「おい!母さん!
初対面でそんなこと言うな!」


「本当のことでしょ
自己中だし 生意気だし」


「そんなことないですよ
とてもいい人で
あたしにはもったいないくらいです」


「そう?
野球しか自慢できるものないから」


「母さん!話ししてないで
ちゃんと運転しろ!
事故るぞ」


「ほらね 都合が悪くなると
いつもこれよ」


「うるさい!」


親子の言い合いを聞いてると
笑ってはいけないとおもうのに
笑ってしまう。


しばらく走ると
のどかな街にたどり着いた。


「空気の良いところですね」
都会にはない
空気がとても美味しいという表現が
いいのか分からないけれど
思わず出てしまった言葉。


「そう?
ずっとここに住んでたら分からないわ
どーぞどーぞ上がって」


家へと招かれた。


「すみません・・・手ぶらで
しかもこんな普段着で」


「いいのよ
うちに来るのに気を使わないで」


「ここに来ると伝えてなかったから
空港で激怒されたよ」
とミステリーツアーの話を勇さんが
お母さんに言うと
「当たり前でしょ!
私だったら空港でバイバイって
帰ってるわ
アホじゃないの!」
と怒られていた。


「お出かけする!って言うから
その辺りで買い物だと思ってたんで
でも!スエットじゃなくて
よかったです」
私の言った言葉にお母さんは大笑い。


「スエットでも似合う町よ」って。