「あそこで大泣きするかと
思ったわ」


勇さんの言うあそことは
指輪の交換。


たしかに
泣くな!と言われなければ
本当に号泣していたかもしれない。


「感動したもん」


「手も震えてるしさ」


「緊張するでしょ!普通!
勇さんは余裕の態度で
構えてたけど」


「余裕?そう見えた?
全然余裕じゃなかったよ」


「チャンスで打席立つのとどう?
例えば勇さんがホームラン
打てばサヨナラ
ヒットならば同点
打てなければ一点差で負け」


「そこ!比べるのおかしい!」


「だって緊張するでしょ?
自分がここで打てば勝てる!
打たなければ負ける」


「比べようがない」


「そう」


「こっちの方が緊張するし
お前はガチガチに緊張してるし
オレがここでミスれないと
思うと余計にな」


「そーなんだ
でも無事終わってよかったね」



白無垢を着替え
やっと身軽になった私。


神社の横の日本料理のお店で
親族顔合わせを兼ねた食事会。


まだバタバタが続くのだ。


私の叔父夫婦は勇さんを囲んで
記念撮影。


もともと 叔母様は勇さんの
ファンだったようで
この話を持って行った時は
「嘘でしょ」と信じてくれてなかった。


今日目の前の勇さんを見て
「本当だと実感したわ」と。。。


私は昨夜からの緊張と
今緊張から解き放されると
一気に疲れが来たようだ。


「美結大丈夫?
顔色良くないけど?」
母はさすがだ
私の異変に気付いた。


「なんか・・・気持ち悪くて」


「気持ち悪い?
風邪でも引いた?
明日もあるのよ大丈夫?」


「うん・・・」