慌てて支度を始める。


「ねぇ!ネクタイないけど?」


スーツを着て準備する勇さんが
私に言った。


「あっ。。。そうそう
誕生日プレゼント」


そこでネクタイのを渡した。


「色々考えたけど
ネクタイがいいかな?って」


素早く開けてネクタイを出し
「美結がネクタイ締めて」
と身を乗り出し 私が締めて完了。


そして私が運転する軽自動車で
区役所に向かった。


「2番の番号札お持ちの方どうぞ」
呼ばれてカウンターに2人で行く。


「これをお願いします」
私が受付の人に手渡した。


「婚姻届ですね
本日はおめでとうごさいます」


「ありがとうございまーす」
私のテンション グッと上がる。


「少々お待ちくださいませ
えっ!!!えーーー」


受付の人が突然えー!と叫んで
私たちの婚姻届をその場に
ヒラヒラと落としてしまった。


「おねーさんおねーさん
不吉なことやめてくれる?」


すぐさま勇さんが女の人に言った
もちろん私も同感。


「失礼いたしました
申し訳ごさまいません」


「これで もしも この先に
離婚とかになったら
おねーさんのせいだからね」


謝ってるのにまだ言う勇さん。


「本当に失礼しました
あのぉ 木山選手ですよね?
私ファンなんです!」


「そう?ありがとう」
ころっと態度を変える。


「私が婚姻届を受理できるなんて
信じられません」


少し舞い上がってる様子。


なのに勇さんは
「落としたけどな」と一言言う。


「もぉー勇さん!いいでしょ」


「この仕事してて良かったって
本当に思います!
奥さんになる人も見れて
良かったです
末長くお幸せに」


素早く手続きを済ませて
駅へと送る。


「あれはないよね?」


「きゃー!わー!」って
書類を両手で持ってたくせに
両手をパッと話す仕草を
真似る勇さん。


「そーだね
あれはびっくりした」


「向こうもびっくりしたかも
知れないけどこっちもだよな」


「確かにねぇ」