黙って聞いてた勇さんは
「それを全部叶えられるのは
オレじゃないな」
と呟いた。


オフシーズンなら
半分くらいは叶えてあげられるけど
シーズン中は無理だと。


それは付き合う時から
十分にわかってたこと。


「ごめん それは
あたしのわがまま・・・
だけど!!!色々不安なの
毎日毎日不安だらけで
息が詰まりそうで・・・」


「そーだな・・・」


しばらく黙って何か考えてたようだが
「やっぱり無理だったかぁ
妹じゃないんだよね」
と 呟いた。


え?妹じゃない?


少しだけ妹かもしれないと
思ってた私は大きな穴に
突き落とされた気持ちになった。


「本当に妹がいるから使えると思った
オレはそういう男だから」


「その人が彼女?」


「そう」


やっぱり妹説は
嘘だった。


みんなそう
男はみんなそう。


「やっぱり妹じゃなかったんだ
やっぱり・・・
みんなそう・・・」


「みんな?みんなとは?」


「もういい」
ここで昔の彼の話をするのは
変なこと。


「あっ!そうだ
園長先生の甥っ子と付き合えば?
いろんなこと
叶えてくれるんじゃない?」


「本気で言ってるの?」


他の人と付き合えといったその言葉
私と他の人と付き合っても
平気な人なんだ
私への気持ちって無いんだと確信した。


「そーだね
それもそーだね」


「オレも・・・
オレも選ぶ相手 間違ったわ
もう少し騙せるかと思ってた」


「騙せる?」


「そう!都合よくね
それができなくなった
だから 別れよう
もう終わりにしよう」
と。。。


選ぶ相手間違った。。。
都合よく。。。
別れよう。。。
そこまで言われた私は
グッと我慢してた涙腺が破壊した。