「また夜中に呼び出されたら迷惑だからな」




そんな意地悪な言葉で、優しさを隠して。
本当は温かいきみを知れたって、それだけで。


もうそれだけで、十分だ。



「昨日は本当にごめんなさい…。

でも大丈夫だよ!まだ明るいし。
茜くんはみんなと勉強して帰りなよ」


「…いーよ、別に」


「送ってもらうなんて申し訳なくてできないから!」




送る、送らなくてい、の攻防戦を繰り広げ、私が強引に茜くんの教室まで彼を引っ張って行く。


「あれ、茜と三好ちゃんまだ帰ってなかったの?」


驚くみんなと、不機嫌そうに私を睨む茜くん。



「……本当は茜くんと一緒に帰りたいけど、すごくそうしたいけど。

でも茜くんの勉強とか友達関係の邪魔したいわけじゃないから、いいの」




そう言って茜くんを見上げれば、仕方ないな、って顔をして眉を下げて笑った。

珍しい笑顔にドキドキしてしまう。