それから文化祭までは、とにかく忙しくて。
私は茜くんになかなか会えない日々を過ごした。



……茜くんが頑張ってるから私もと思って実行委員になったのに、茜くんに会えないって本末転倒じゃない!?



まあ、仕方ないか…。
それに、文化祭当日は、茜くんと一緒に回る約束もしたもんね!



……と、思っていたのに。




『ごめん、劇出ることになったから一緒に回れない』



そんなメッセージが届いたのは、文化祭の当日だった。



急いで茜くんのクラスに向かうと、みんな慌てたようにバタバタしている。




「ちょっと、今忙しいから邪魔しないでくれる?」



ツンとした声で言うのは、雪音ちゃん。
青と黄色のドレスに、赤いカチューシャ。
白雪姫の格好が、予想していた以上によく似合う。



「ど、どうしたの?」


「有村くんが王子様役になったから」



にっこり、と勝ち誇ったような笑みを浮かべる雪音ちゃん。

え、茜くんが王子なの!?どういうこと?