「花火大会に行きたいです」



茜くんにそうお願いしたのは、球技大会の次の日でもあり終業式でもある、夏休み前日。


茜くんは「了解」とだけ言って頷いてくれた。







「茜くん不足だよ〜…」


それから1週間経って、つまり夏休みも1週間が過ぎて。


今までは1年中夏休みだったらいいのに〜、なんて思っていたけれど、今年の夏休みはもう十分だ。

十分休んだじゃないか。
早く学校に行こうよ。



部屋のクーラーの効きが悪いので、ユリとスミレを誘って涼しいカフェでアイスココアを飲みながら、ため息をついた。



「いつだっけ?有村くんとのデート」

「明日!」


茜くんとのデートの話になった瞬間に目を輝かせる私を見て、ふたりが苦笑いしたのがわかった。
だって楽しみなんだもん…。




「全然脈ないと思ってたけど、意外と有村くんって桃のこと気にしてるのかもね」

「ね、思った!
球技大会の日、ちょっとドキドキしちゃった」


2人がきゃっきゃと盛り上がっているのを聞いて、「本当〜!?」とニヤニヤしてしまう。