今、このクソ忙しいときに、なにで悩んでるんですか、貴方は、と思いながら、芽以は相変わらず、似合いすぎるくらい似合う白いコックコート姿の逸人を見た。

「スタイリッシュな店にしたい。
 だが、どうやら、お前は、可愛い制服の方が似合うようだ。

 それで客を呼ぶのもいいが、お前は一応、俺の妻だからな」

 おかしな男に言い寄られては困る、と逸人は大真面目に語ってくる。

「いっそ、似合わない服を着せた方がいいのか。
 いや、おかしな服を着せたら、俺の理想の店から遠ざかる……」

 パーフェクトな店を目指す逸人には、何故かそこが一番の悩みどころのようだった。

「こんな感じでいいんじゃないですか」
とテーブルの上で開かれたユニフォームの分厚いカタログを適当に指差すと、

「……俺はこっちが似合うと思うが」
と逸人は違う場所を指差してくる。

 白いシャツに茶系ストライプのネクタイとエプロン、それに、キャスケットまでが一セットになっている。

 結局は、お前の好みか、と思いながらも、ご主人様の好みに従うことにした。