パクチーの王様

「そうか。
 式はいつだ?」
と聖はすぐにそう訊いていたが、父はなにも言わなかった。

 いつの間にか、また側に来ていた水澄が、
「お義父さん、ご機嫌ななめね。
 まあ、うちの父もそうだったから」
と笑う。

「しかも、聖さんは、逸人さんと違って、何時間も言わなかったのよ。
 父は呆れて、途中で、煙草買いに行っちゃったわ」

 それでも聖は、ひとり和室に正座して、うつむいていたのだと言う。

 ……我が兄ながら、駄目な人だ。

 だが、今は、なかなか父親に申し込めないくらい、真剣に水澄と、彼女を今まで育ててくれた彼女の両親、そして、彼女との今後のことを兄が考えていたのだとわかる。

 逸人さん……。
 めっちゃ、さらっと言いましたね?

 私のこと、なにか考えてくれてますか?

 ……くれてるわけないか、と思いながら、ダイニングのテーブルで母と水澄と翔太で、ケーキを食べる。