でも、常連のお客様たちは知っている。

 逸人さんがお客様が残したものを確認して、次に出すときは、なにも言わずに、その食材を減らしたりしていることを。

「彬光《あきみつ》くん」
と芽以は彬光を呼んだ。

「はいっ、芽以さんっ」
と彬光は水のたっぷり入ったピッチャーを持ってきた。

 更にかけろというのか、どんな店だ、と思いながら、芽以は、
「いや……タオル」
と小さく彬光に言った。