「確かに友人や恋人は別れたりもするが。
 俺たちには関係ないぞ、夫婦だからな」

 永遠に一緒だ、と言う逸人は、強く手をつないでくる。

 ピュアだな、この人、誰よりも……と思った芽以は、なんだか泣きそうになった。

「私、逸人さんと結婚できて、よかったです」

「俺みたいな男でいいのか?」

 そう逸人は改めて訊いてきた。

「なんでですか? 逸人さんはいい人です」

「俺は全然いい人じゃない」

 何故か、逸人は思いつめたようにそう言ってきた。

「お前が俺の許に来る前は、お前が圭太と一緒になったとしても、お前を一生見守ろうと思ってた」

 でも、もう無理だ、と逸人は芽以を強く抱きしめる。

「お前がどんなに嫌がっても、俺はもうお前を離せない。
 こんな人間、いい人なわけはない」

 逸人は芽以の後ろ頭に手をやると、逃すまいとするように、おのれの肩に向かい、芽以の小さな頭を押しつけた。

 ……どうしよう。

 この人、語り口調は淡々としてるけど、実は誰より、情熱的だ――。