パクチーの王様


 二人しか居ないけど。

 パジャマ着てるけど。

 今が結婚式みたいだな、と芽以は思っていた。

 見守っているのは、まだ、芽の出ていない種たちだけだか。

 そっと身を乗り出し、キスしてきたあと、逸人は、

「芽以」
と言って、手を握ってくる。

「今夜は此処に泊まって行ってもいいか?」

 此処、貴方の家です……と思ったが、おそらく、この部屋に、という意味だろうな、と芽以は思った。

 いいかとか訊かないでくださいよ、と思う。

 はい、とか言いづらいじゃないですか、照れちゃって……と俯いたが。

 律儀な逸人は、そんな芽以の無言の了承を読みとることなく、手をつかんだまま、止まっている。

 ……本当に不器用な人だ。

 圭太が、結婚しろと言ってくれなかったら、お互い、好きだと気づいたところで、なんにも話、進まなかったな、きっと。