パクチーの王様

「そいつらが、俺に社長になれと言うのなら、なってやろう。

 お前の覚悟も見抜けないような連中は、会社に居ても、役には立たないからな。
 
 即行、クビにしてやる」 

 ひっ、と芽以は身をすくめた。

 本当に、即行、クビにしそうだ、と思ったからだ。

 逸人さん、逸人さん、その人たちにも養わなければならない、妻や子や孫や愛人さんが居るかもしれませんよ。

 いや、愛人さんはいいか……。

 しかし、この人、パクチーの店をやってる方が害がなくていいかも、と改めて芽以は思った。

 なにかと、決断が早すぎる……。

 まあ、それが上に立つものとして、向いている、ということなのかもしれないが。

 だから、たぶん、その重役さんたちの目が節穴なわけでは、決してない。

 そんなことを思いながら、逸人を見たとき、日向子が、神田川に連れられ、戻ってきた。

 というか、扉の外で話を聞いていたようだった。

 戻るタイミングを窺っていたのだろう。