パクチーの王様

「お前はあれだけ好きだった芽以を諦めてまで、会社のために尽くそうとしたんだぞ。

 そんなお前の覚悟に俺なんかが敵うわけがない。

 そう思ったからこそ、俺は会社を辞めたんだ。

 俺だったら、会社を捨てても、芽以を取る」

 ……どうしよう。

 そんな場面ではないのに、ちょっと泣きそうになってしまった。

 圭太、と逸人は兄に向かい、呼びかける。

「お前がどうしても社長になりたいと言うのなら、俺が手を貸してやる。

 お前に甘城がついてなきゃ認めないと言ってる奴らは、俺を担ぎ出したいんじゃない。

 お前に難癖つけたいだけだ。
 今すぐ、そいつらを此処へ連れてこい」

 光彦と富美の顔には、いや、連れてきたら、なにが起こるかわからないから、この息子の前には連れて来られない、と書いてあった。