「圭太」
まだそのままになっている自分の部屋に荷物を取りに寄ろうとした逸人は、広い廊下の真ん中に立つ圭太を見つけた。
我が兄ながら、いつも颯爽とした感じだ。
服装とか、ルックスとかの、見た目だけは。
目は死んでるな、相変わらず……と思っていると、
「芽以も来たのか」
と圭太は訊いてきた。
「当たり前だろ」
と言うと、
「まさか、芽以がお前の嫁として、此処に来る日が来るとはな」
と圭太は言ってくる。
いや……お前が結婚しろって言ったんだ。
だが、家と芽以との間で板挟みになり、正気を失っていた圭太が、最近、ようやく正気を取り戻しつつあるのに気づいていた。
今更、芽以を返せと言っても返さんぞ、と思いながら、腕組みして兄を見据える。



