でも、そうだ。
 静だけではない。

 他の連中もいい奴らだから、誰が此処に来ても、芽以が好きになってしまうかもしれないし。

 みんなも芽以を好きになってしまうかもしれない。

 再び、芽以と圭太が話し出すのを見ながら、頭がぐるぐるしていると、静が側に来た。

 見るからに色男なその顔を見ながら、つい、
「もうお前らは店には呼ばん」
と言うと、

「急にどうした?」
と訊いてくる。

「いや、お前らを呼んでたら、芽以がお前らを好きになって。

 お前らも芽以を好きになって。

 みんなが芽以ちゃんが欲しいと言い出して、手をつないで芽以を連れ去ってしまうかもしれん」

「それ、花いちもんめだよね~……」