じゃあね、と日向子が帰ったあと、圭太が一階に下りてきた。

 それを見ても、特に静も驚く様子はなかった。

「下の会話、聞こえてた?」
と芽以は訊いたが、は? なにが? と圭太は言う。

 聞いてなかったのかーー。

 日向子さんが静さんと浮気したいと言った話。

 よかったような、悪かったような。

 日向子さんは、圭太の心を試したかったんだろうにな、と思いながら、芽以は、なにか考えている風な圭太の横顔を眺めていた。