「芽以は年をとっても、きっと可愛いからな」

「……どんだけラブラブよ、あんたたち」
と呆れたように、言いながら立ち上がった日向子がこちらに来る。

 カウンターのところから身を乗り出した日向子が、

「ふーん。これが厨房かあ」
と眺めたあとで、棚の上に置かれていた眼鏡ケースに気づき、

「あら、これ、誰の?」
と訊いてきた。

「俺のだ」
と逸人が日向子にチャーハンののったトレーを渡しながら言うと、

「へえー、あんた眼鏡なんてかけるの。
 ちょっとかけてみなさいよ」
と言い出した。

 やっぱり、即行、言うんだな、と苦笑いして、芽以は聞いていた。