パクチーの王様





 眠る前、芽以は暗がりの部屋で、まだ芽の出ない鉢に向かい、話しかけた。

「頑張ってね。
 私も頑張る」

 店の仕事なんて、慣れないはずなのに、逸人があれだけ上手く店を回せているのは、目に見えない部分で、最大限の努力を積み重ねているからだと、今日、改めて感じた。

「私も頑張る」

 逸人さんの助けになるように、と思いながら、機嫌のいい芽以は、なんとなく、南京錠をかけて寝た。

 せっかく逸人さんが用意してくれたものなのに、最近使ってなかったな、と気づいたからだ。

 芽以は、
「おやすみなさい、逸人さん……」
と呟いて眠り、いい夢を見た。