パクチーの王様





 ああ、楽しかったけど。
 なんか仕事の千倍疲れたぞ、と思いながら、芽以は逸人と夜道を帰っていた。

 短い橋の上の風がちょっと冷たい。

 もう遅い時間なので、車はまだ行き交っているが、歩く人はさすがにもう少なかった。

「子どもの相手するって体力いりますよね~。
 親って大変なんだなーって最近思います」

 最近、特にそういう風に感じ始めたのは、やはり、結婚とか、子どもを育てるということが、身近になってきているからだろうか、と思ったあとで、逸人を見上げる。

 だが、視線に気づき、逸人がこちらを見下ろしてきたので、つい、目をそらしてしまった。

 ま、恐れ多いな。
 自分がこの人の子どもを産んで育てるとか、と思う。

 私の血の入った子どもが、そう優秀とも思えないから、逸人さんに申し訳ない感じがするし。

 確か、この人、凄い偏差値とってたな、と思いながら、芽以は逸人を見上げ、訊いてみた。

「あのー、昔、偏差値80越えとかしてましたよね?
 あういうのって、どうやったらできるんですか?」