……酔いつぶれてあげるべきだったろうか。

 酔って翔平に絡んだ挙句、カーペットに倒れて寝ている芽以の父を見ながら、逸人は思っていた。

 なんとか自分を酔わそうとしたようだが、案の定、先に倒れてしまったのだ。

「部屋までお連れしましょう」
と芽以の父の前に片膝をつくと、聖が、

「ああ、いいいい。
 俺が運ぶから」
と言う。

 父親の腕をつかみながら、
「お前は、芽以を連れて帰ってやれ。

 ……疲れ果ててるだろうから」
と芽以を見た。

 芽以は翔平に上に乗られたまま潰れ、
「……ヒヒン」
と悲しく鳴いていた。

 ほぼ百人一首のあと、ずっと翔平におうまさんをさせられていたのだ。

「帰るぞ、芽以」
「ヒヒン……」