調子のいいところのある聖の言葉が全面的に信用できるかはともかくとして。
聖さん、やはり、神……!
と思っていた。
聖の言葉に、迷いが晴れていく気がしたからだ。
例え、適当に言ってるんだとしても。
「どうせ、お前のことだから、まだ、芽以に指一本触れてないんだろ。
今夜辺り……」
と言いかけ、聖は、おっと、と言葉を止める。
父親が今の発言にビクついたのを見てとったからのようだった。
「そろそろ入るか」
と石造りの足湯から、聖は立ち上がる。
「出るとき寒いんだよなー」
と言ってタオルで足を拭きながら。
一緒に中に入ると、芽以たちは床に百人一首を並べていた。
芽以が顔を上げ、言ってくる。
「逸人さんたちもやりませんか?
ほぼ百人一首」