失礼極まりない連中だな、と思っていると、千佳は芽以を壁ドンしたまま、こめかみに人差し指を当て、まるで、探偵のような顔で言ってきた。

「いや、待てよ。
 そういえば、一度、街でバッタリ出会って、幼なじみだとかいう凄いイケメンを紹介されたことがある。

 身なりのいい、お坊ちゃん風の――」

「えー。
 そんな幼なじみが居るなんて、芽以さんもお嬢様だったんですか?」
と訊いてくるめぐみに、

 いや、お嬢様だったんですか? と訊かれている時点で、既にお嬢様らしき要素がひとつもない、ということだよねー、と思いながら、芽以は答えた。

「いや、圭太たちとは、たまたま学校が一緒だっただけ。
 社会の荒波に揉まれにか、圭太たち、公立の小中学校に通ってたから」

 千佳が、
「で、その圭太とかいうイケメンと結婚すんの?」
と訊いてくる。

 いや、と言いながら、此処までの過程が説明しづらいなーと芽以は思っていた。