なんで、不審なメールにご注意くださいのメールが怪しいと言ったのが、圭太のせいになるんだろうな? と小首を傾げながら、芽以はテーブルに料理を運んでいた。

 逸人さんの発想、相変わらず、よくわからない。

 そう、よくわからない人だから、なにか理由があるのかもしれないが……と思いながら、芽以は、チラ、と厨房の逸人を窺った。

 皿を下げて、厨房に行った芽以は、今はフライパンの方を見ている逸人に向かい、呼びかけた。

「逸人さん……」

 なんだ? と逸人が見る。

 だが、その顔を見ると、やっぱり言い出せなかった。

 昼間、区役所に書類を取りに行ってわかったのだが。

 自分と逸人の婚姻届は出されてはいなかった。