パクチーの王様


 絶対、格好いいから、眼鏡かけてみてくださいっ、とか、今、逸人さんには言えないなー、と思う。

 日向子さんが、最初から逸人さんを好きだったんじゃないかとか言い出すから、意識してしまうではないですか、と思い、芽以は赤くなった。

 あーあ。
 日向子さんなら、サラッと言えるんだろうになー。

『あら、逸人。
 眼鏡なんて持ってたの?

 ちょっとかけてご覧なさいよ』
とか言って。

 ああっ。
 日向子さんがうらやましいっ、と思った気持ちが、思わず、口からもれていた。

「私、今、日向子さんになりたいです……」

 溜息をついて、おやすみなさい、と布団の上に手をつき、正座したまま、頭を下げた。