その日の営業が終わったあと、逸人は昼間の芽以の言動について考察しながら、裏口から生ゴミを出しに出た。

 すると、また、店用巨大ポリバケツの陰に誰かが潜んでいる。

 高そうなコートが汚れるのも構わずに、そこにしゃがみ込んでいたのは圭太だった。

 逸人が無言で、その襟首をつかんで、ポリバケツに詰めようとすると、

「生きてるっ生きてるっ。
 せめて、殺してからにしろっ」
と圭太が叫び出す。

「ああ、すまん。
 間をはしょってしまった」
と呟きながら、逸人は手を離した。