パクチーの王様

「いや、ちっちゃい頃の話よ」
と日向子は笑っている。

「ほら、子どもって、おじいちゃんおばあちゃんとかママとか、チュッてやるじゃない。

 それと一緒……

 あんた、それは凶器よっ」

 芽以は手近にあった棚の上のランプをつかんでいた。

 スタンド部分は鉄製になっているアンティークな柄のガラスのランプだ。

「それ、ガレじゃないっ?」

 幾らよっ、とわめきながら、日向子は己《おの》が身を守るために立ち上がる。

「なによっ。
 可愛い子どもの頃の話でしょっ。
 みんな微笑ましく見てたわよっ」

「どうした?」
と日向子のために軽い朝食を作って逸人がやってきた。