いや……無理ですから。

 額に手をやり、芽以は思っていた。

 ほんっとうに、貴方と居ると緊張するしっ。

 今なんか、もうどうしていいかもわからなくて。
 失神しそうになってますからっ。

 この先も、貴方の側に、平気な顔で居るのは、きっと無理……。

 そう思ったあと、なんでだろうなあ、と思う。

 圭太だと、いくら側に居ても、こんな緊張することなんてなかったのに。

 布団の上に座り込んだ芽以は、いつまでも暗がりで、逸人の消えたドアを見つめていた。