いや、それ、私の意志で決められるものなんですかね?
と思っていると、逸人は、

「圭太はいずれ、会社のために、甘城(あまぎ)の娘と結婚するつもりでいたとは思うが。
 それでも、お前が強く押してたら、どうなってたかはわからないぞ」
と言ってくる。

 そ、そんなこと今更言われても……。

 っていうか、そもそも、自分が圭太のことを好きだったのかどうかもわからないし。

 いつもなんとなく一緒に居て。

 このままずっと居るんだろうなと。

 ただ、なんとなく思っていただけだ――。

「今ならまだ止められるかもしれないぞ」

 そんなことを逸人は言い出す。

「明日、圭太はその女と会うそうだ。
 イブがお前で、彼女がクリスマス。

 圭太の精一杯の誠意だろ」

 イブの方が盛り上がるからな、と逸人は鼻で笑う。