それより、少し前、逸人は、部屋の電気を消してなお、明るい天井を見ながら、逸人は、芽以のことを考えていた。

 芽以のこと、そして、圭太のことを。

 やっぱり、あいつは人がいい、と思う。

 思い詰めて、妊娠したとか言い出した日向子のために結婚してやることにしたんだったとは。

 砂羽が言うように、俺の方がロクでもない男だから、芽以を手に入れられたのか。

 いや、入ってないが……と思ったとき、誰かがドアをノックした。

 まあ、誰かって。
 芽以しか居ないが。

 こんな時間にどうしたのだろう、と思いながら、ベッドから半身を起こす。

「はい」
と返事をしつつ、

 まさか、圭太に告白されたので出て行きますとか言わないだろうな、と思っていると、なにか考えている風に、一点を見つめた芽以が、とっとっとっと、とやってきて、いきなり、布団をめくると、スポッと、腕の中に収まった。

 うわっ、と声を上げてしまう。