パクチーの王様

 芽以は苦手なパクチーをいつか克服できると信じて、息を止めながらでも、此処で頑張っているようだ。

 パクチーにもそれだけ愛をそそいでいるのなら。

 俺にも、いつかそそいでくれるだろうか。

 ……昨日キスしても刺されなかったしな。

 今日も刺されないだろうか、と自分も開店準備をしながら、逸人は思っていた。