着物は着るのかと芽以の母親が側で訊いているようだ。

『着るのなら、すぐ来いってさ。
 こっちも初詣に出かけるから。

 今、水澄が着せてもらってる』

 聖さんっ。

 やはり、神!

 素晴らしいタイミングで電話してきてくれた聖に感謝しながら、逸人は、この機を逃すまいと立ち上がる。

「芽以、せっかくお義母さんが言ってくれてるんだから。
 早く支度しろ。

 此処は俺が片付けるから」

 よかった。
 新年の野望は、書き初めに書くまでもなく、達成できたようだ。

 いや、書き初めに『振袖』とか書いていたら、芽以に、
「……どうしたんですか」
とか言われそうだが……。