「芽以?」

 風呂から出た逸人は、一応、芽以の部屋をノックしてみた。

 返事はない。

 しかし、ドアが少し開いている。

 ……鍵が開いているが、うっかりだろうか?

 新年を迎えるにあたり、一緒に寝てみようとか……

 思うような奴ではなかったな。

 そう思いながら、そっと覗いてみると、差し込む廊下の灯りの中、布団の上に、うつ伏せに倒れこんで寝ている芽以の姿が見えた。

 死体のようだ……と新妻の寝姿に対する感想とも思えないことを思ったあとで、逸人は室内に入り、芽以を抱き上げた。

 ぐっすり眠っている芽以は起きる気配もない。

 仰向けに寝かせ、上から布団をかけてやった。