パクチーの王様


 っていうか、追《つい》パクってなにっ?

 この上、パクチーおかわりとか正気ですかっ?

 私はさっきから、鼻の上をカメムシがもぞもぞしている気がして、息を止めて運んでいるのですがっ。

 ちなみに、追いパクという言葉を初めて雑誌で見たとき、
「おいパク」
と呼んで、パクチーが追いかけてくるのかと思ったものだ。

 芽以がそんなしょうもないことを考えている間に、十一時半になっていた。

 みっしりパクチーの詰まったモヒートを運んで、営業は終了した。

 普段はこんなに遅くまではやらないそうなのだが、まあ、オープンだし、大晦日だし。

 せっかく行列してまで来てくださった、たくさんのお客様に申し訳ないので、延長して営業したようだ。

 それにしても、大晦日に、パクチーで年を越したい気持ちがわからないんだが……、と思いながら、芽以はキャスケットを外し、ひと息ついた。