パクチーの王様


 ふかふかのシュウマイにパクチー。

 白と緑で目に鮮やかだが、パクチー。

 厨房のカウンターに料理を取りに行きながら、芽以は、この人、一体、何本手があるのだ、と手際よく料理を作っている逸人をチラ見する。

 ともかく、徹底的に効率よく行くように、何度もシミュレーションしていたようだった。

 聖も厨房を手伝った経験はあるようだったが、逸人のペースを乱さないよう、手は貸さないことにしたようだ。

 代わりに、聖は楽しくお客さんたちとトークを繰り広げている。

 ……特に女子と。

 そうして、聖が聞き出したところによると、この行列の原因は、SNSだそうで――。

 恐ろしいな、SNS、と芽以は思う。

 ひとりのパクチー好きの目にこの店の看板が止まり、そこから、ぶわっと広まったようなのだ。

 パクチー専門店が増えてきたとはいえ、物凄く多いわけでもない。

 新しいパクチーの店に飢えていた人たちが、全国津々浦々から集まってきてくれたようなのだ。

「とりあえず、オープンしたときは行列ができる、ラーメン屋みたいなもんですね」

 昼過ぎて、一段落したときに、芽以はそう呟いた。