再殺動

「これからさ、あたしの知り合いがカラオケ行くんだって。しかもね、彼も彼女にドタキャンされたとかで落ちてて」
「ちょっとやだ彼って、男? いいよ私。そんな気分じゃないし」
「悔しくないの? ここはさ、ぱーっとやろうよ。かなりイケメンだしさ。楽しいって」
「ミカが行きたいだけでしょ」
「そうだけど、いいじゃん。それともこうやってずーっとうだうだしてる気?」
「それはやだ」
「じゃ決まりね」

『今から行くね』

楽しそうに微笑むミカを横目に方杖をつき、SNSで検索をかける瑠璃はため息をついてスマホの画面を下にしてテーブルに置いた。

「行くよ」

瑠璃のスマホを勝手にカバンに投げ入れ、腕を取り、やる気のない瑠璃を引っ張るようにファストフード店を後にした。

駅前のカラオケは目と鼻の先だ。
近くにコンビニのトイレで化粧を直し、髪にブラシを通す。

瑠璃もそこは、『私の彼氏はモデル、私はその彼女』というプライドもあって、いつどこで誰が見ていて何を載せられるか分からないということもあり、一通り自分自身をチェックする。
いろいろな角度から自分を鏡に映してどう見えるかを細かく確認していった。