次の日__
朝一番に登校した女子生徒が目の当たりにしたものは、本校舎中央階段の下で、不自然な形に曲がって倒れている有の姿だった。
悲鳴を上げる前に、スマホを取り出して写真を撮りまくる。
有の顔面は白く、唇は青く変色していた。目だけは最大限に見開き、そこには生前感じた恐怖が色濃く残っている。
腕の関節はその役目を果たしていなかった。
口からは少量の吐血のあと。頭から流れた血は既に固まっていた。
ようやく写真を撮り終えると、ゆっくりと警察の番号を打ち込んだ。
「こうなって当然。こいつはいろんな子の彼氏を奪いとってきたんだから。ほんといい気味。私の彼氏も奪っておいて、飽きたらすぐ捨てて違う男に乗り換えて、死んでくれてよかった」
倒れている有の足を蹴っ飛ばし、スマホを耳に当てた。
そのスマホの中で、今撮った写真が全て『削除』されていることに気づくのは、警察が彼女に事情聴取を取ったあとのことで、このときの彼女はまだ気づいていなかった。

