十一

　影の内で、太郎と昭子、侍、そしてたまこが話している。

「今回の男もどうしようもねえやつだったなあ。もう十分旨そうだったけど」

「そうだねえ、ま、あの男の家族とやらもあいつの奇行を知っていても側にいたんだ。凄まじい恨みを持ってたんだろう。準備していたことが最後までしっかりできなくて残念だったわねえ」

「でもまあ、待てば待つほどあいつは旨くなる。最近は死体より霊の方が旨い」

「おお、相変わらず太郎ちゃんは怖いねえ」

　太郎と昭子が怖いことを言い合っている。

「火をつけて完全に燃やすなんて、あの女も相当だよ」

　侍はメロンソーダのおかわりを太郎に頼みながら、まあ、あの家族も遠くに離れるんだろう。
　あの土地は手放さないだろうし、手放せないだろうから、放置していれば誰にも気づかれないしな。と、付け加え、数年もしたら木々や雑草に覆われてあの場所はなくなったも同然になるだろうと言うと、