「あたしらがあんたの後ろに控えてるから、おまえさんは思う存分、やりたいように恨みを晴らせるんだよ。でも、ただってわけじゃないよ」
 昭子が凄みをきかせ、瑞香は思わず固唾を飲む。

「最後までしっかり決着をつけられるように俺たちがいるってわけだ。言わば守り神みたいなもんさ」

 太郎が、自分たちはお前さんを守れる守り神だとまた適当なことを言った。

「あれ、久し振りに良いことを言ったよ。確かにそうとも言えるねえ、あたしたちは守り神だ。神なんて名乗るなんて気分がいいねえ」

 昭子も調子に乗る。守り神という響きが気に入ったようだ。

「ここまで話せばこれからあんたがやるべきことはわかってるわね?」

「あいつをやっつける」

「可愛い言い方だね」

 おもわず吹き出した昭子に瑞香がムッとした顔をする。唾を飲み、気持ちを切り替える。

「もう一つ確認したいことがあります」

 思い出したついでとばかりに瑞香の喋りが徐々に滑らかになっていく。

「私が彷徨っているときに、変な格好の侍さんと会ったんです。その人が何か言っていた。

 その侍さんにばったりと畑で出くわして、そうですよ、道じゃない、畑で会ったんです。

 それで、いろいろ話を聞いてもらっているうちに、なにかの契約をしたんです。

 その契約が交わされた時点で私は消えたんです。なるほど。私はその侍さんと何かの契約を交わしたんですね」

「話が見えてきたじゃねえか」

 太郎が大きく首を上下させた。