「そりゃもちろん。あいつは本当にたくさんの悪事に手を染めましたからねえ。しばらく泳がせてましたでしょ、だから更に美味しく肥えてましたわ。そうだ、あの動物を殺した奴は今も変わらず動物たちに食われ続けていますからね、本当は俺も食いたいところなんですが、猫夜と犬飼筆頭に動物たちの怒りが収まらず俺の出る幕はなくてね、仕方なく譲りましたわ」

「なんだい、太郎、ニャンちゃんとワンちゃんに会ったのかい」

「こっちに目もくれずにひたすら喰いまくってましたよ」

「そうかい、そりゃあ何よりだねえ」

 それを聞いて昭子が良かったとばかりに顔を少女のように綻ばせた。

 しばらく留守にしていた太郎は、昭子と侍に、「今美味い飯作りますんでね、ちょっと待っててくださいよ」と声をかけると、二人は待ってましたとばかりにお互いに手をパンと打ち合って、何が出てくるんだろうねえ。楽しみだ。酒だ、酒を先に呑んでおこう。と二人して喜んでいた。

 久し振りに三人集まってのんびりと話に花を咲かそうとしていたのだ。
 しかし、三人の動きがふと止まる。何かの気配を感じた。

 家の外に意識を向ける。玄関に視線を止める。
 それから時を視る。

「ああ」

 と、三人揃って口を開け、鼻の奥で笑う。