八

 たまこはなんとも言えない表情を顔に貼り付けている。
 一部始終までとは言わないまでも、事の成り行きは侍が説明してくれたので話についていけた。
 それでもさきほどの二匹のことを思えばなんとも言えない気持ちにもなるのだ。

「それでだ、たまちゃんは俺の話が聞きたいんじゃなかったか? 俺の話がまだ終わってなかっただろう」

 侍がたまこが何か言いたそうにしているのを感じ、咄嗟に己の話でたまこの気を猫夜と犬飼から引き剥がした。

 たまこはなんのことだか一瞬わからず侍の目をのぞく。
 ああそうだ。とすぐに思い出し、猫夜と犬飼が座っていたところに急いで座り、分厚いノートを開いた。

「なんだよ、忘れてたんならわざわざ言わなきゃよかったぜ」

 侍がクソっと小さく漏らす。
 太郎と昭子が同じように口を左右に大きく引いて目をギラつかせながら笑っていた。