エサも一日置きに与えることにして、ストレスがたまってきた頃、散歩もやめた。
 次第によく吠えるようになったので蹴り飛ばし、檻に閉じ込めた。そのまま数日放置しておいた。
 そんなことを繰り返しやっているうちに犬は順調に元気を失っていった。

 檻の鍵を開け、たまにやる少ないエサと水にがっついているところを脅かして虐めた。
 ビビる様子が楽しかった。

 数ヶ月後、犬は骨と皮ほどに痩せ細り、檻の隅で丸くなってあまり動かなくなった。
 エサをやってもにおいを嗅ぐだけで食べない。
 随分と時間をかけてきたのにこれかよ。とつまらなく感じていた。

 そんなときだった。
 更に数日あけて犬の様子を見に行ったときのことだ。この前やったエサは残されたまま、水も飲んでいない。

 犬は相変わらず檻の奥で背を向け丸くなって動かなかった。声をかけても何の反応もない。驚かしてもびくともしない。だから俺は檻の鍵を開け、背をかがめて中に入った

 犬に触ったとき、まだ温かかった。生きているなら最期の仕上げに入ろうと引きずり出そうとして首を掴んだところで、犬が動いたのだ。