「ちょっと待ってください。その前に、お宅様方は一体どなた様なんですか? あたしらは侍さんはわかると言いましたが。侍さんのおかげであたしらは復讐できるんですから。ですが、お宅様方は……」
猫夜がいろいろと話はしたが、今目の前にいる二人が一体なんなのか、検討もつかなかったのである。太郎と昭子を交互に探るように見る。
話しながらいろいろ考えを巡らせてはみたものの、今までに会ったことはない。接点がまったくないのだ。
太郎と昭子はどんな人なのか、なぜここにいるのか。
はたまた太郎がどうやらボス猫っぽいと思うが、それがなぜなのか、いまいち解せないでいた。
「ああ、そのことなら俺が説明しちゃる。俺がお前らに会ったときに話しただろ。そのときが来たら『俺ら』に話せって。俺にはおもしれえ仲間がいるっつっただろう。それがこの二人のことよ。俺には力はまったくねえが、この二人はそれができる。おまえらの恨みを晴らす手伝いをしてくれるってえのはこの二人のことさ」
侍が答え、大きく頷いてみせる。
猫夜と犬飼が、なるほどとストンと事情を飲み込んだ。
「俺たちは江戸の前からここに生きてるんだよ。お前さん方よりうんと昔からいる。その時代時代で姿形を変えながら、もうずうっとこの地で人間の生き様を見て来たさ。なあに、時代が変わっただけで人間なんてなにも変わりゃあしない。欲に従って動いてるだけのいきもんだ。最後には百パーセント死ぬっつうのに、他人と己を比べてもがきまくって生きている。おもしれえだろ。けっこうな数を見て来てな、だいたいみんな似たり寄ったりな生き方、死に方に正直飽きたわけよ」
侍がそれはそれは可笑しそうに人間とはなんたるかを説明した。
猫夜がいろいろと話はしたが、今目の前にいる二人が一体なんなのか、検討もつかなかったのである。太郎と昭子を交互に探るように見る。
話しながらいろいろ考えを巡らせてはみたものの、今までに会ったことはない。接点がまったくないのだ。
太郎と昭子はどんな人なのか、なぜここにいるのか。
はたまた太郎がどうやらボス猫っぽいと思うが、それがなぜなのか、いまいち解せないでいた。
「ああ、そのことなら俺が説明しちゃる。俺がお前らに会ったときに話しただろ。そのときが来たら『俺ら』に話せって。俺にはおもしれえ仲間がいるっつっただろう。それがこの二人のことよ。俺には力はまったくねえが、この二人はそれができる。おまえらの恨みを晴らす手伝いをしてくれるってえのはこの二人のことさ」
侍が答え、大きく頷いてみせる。
猫夜と犬飼が、なるほどとストンと事情を飲み込んだ。
「俺たちは江戸の前からここに生きてるんだよ。お前さん方よりうんと昔からいる。その時代時代で姿形を変えながら、もうずうっとこの地で人間の生き様を見て来たさ。なあに、時代が変わっただけで人間なんてなにも変わりゃあしない。欲に従って動いてるだけのいきもんだ。最後には百パーセント死ぬっつうのに、他人と己を比べてもがきまくって生きている。おもしれえだろ。けっこうな数を見て来てな、だいたいみんな似たり寄ったりな生き方、死に方に正直飽きたわけよ」
侍がそれはそれは可笑しそうに人間とはなんたるかを説明した。

