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幾田さんは、スクールカーストと言われるピラミッドの中で、誰よりも底辺にいた生徒だった。


幾田さんは黒髪にメガネをかけていて最初から大人しい女の子という印象だった。教室ではひとりでいることが多かったけど、別に当たり障りなくみんなも最初は普通に接していたと思う。


けれど、ある日。お調子者の高野くんが幾田さんに近づいてこう言った。



『昨日、お前ん家の店に行ったらさ、透け透けの下着が売ってたぜ。もしかして幾田もああいうの着けてんの?』


幾田さんの家は小さなセレクトショップをやっていて、衣類や雑貨などが売られているという噂は聞いたことがあった。


だから、幾田さんの持っている文房具はいつも可愛くて、ラインのアイコンもノートとシャーペンとうさぎのクリップ。

今度お店の場所を聞いて、ちづと行ってみようかと話していた矢先の出来事だった。



『なあ、どうなんだよ。幾田』


下着のことをしつこく聞き続ける高野くんに、幾田さんは恥ずかしそうに黙ったまま。


誰かが止めるだろうと、クラスの大半が思っていた。


けれど高野くんに便乗するように、ガラの悪い森元、武政、井口が加わり、さらに幾田さんへのからかいはヒートアップしていった。