「木崎さんの部屋、すごく綺麗だね」
「違うよ。私が来るたびに掃除してあげてるんだよね?」と、ちづが冗談まじりに言う。
佐藤さんのことでかなり落ち込んでいたけれど、予告動画を防ぐ方法が見つかったことで、少しずつ気持ちが安定してきたようだ。
戸上さんが私の部屋にいるとなんだか不思議な感じもするけど、話してみるとすごく喋りやすくて、今まで接点がなかったことがもったいないぐらい。
「そういえば昨日、新しい予告動画は送られてこなかったね」
ちづがシュークリームを一口噛りながら言った。
制裁されなくても予告は次々と届くことは前回のことで学んでいた。けれど、毎日途切れることのなかった動画は初めてピタリと止み、池谷くんと戸上さんが予告された動画のままライングループは静けさを保っている。
動画の効果がなくなり幾田さんが諦めてくれたのか。
それともクラスメイトたちの人数が少なくなったことで予告するスピードを遅くしたのか、それは本人にしか分からない。
「でも仮に送られてきたとしても再生しなければ防げることが分かったから、もう誰も死なないってことでいいのよね?」
戸上さんの言葉に、私とちづはゆっくり頷いた。
ライングループが退会できない以上、ラインを開くたびに嫌でも目に入ってしまうけど、動画どころかライングループそのものを開かなければいい。
なかったことにするわけではないけれど、もうクラスメイトたちのあんな残酷な姿は耐えられそうにないから。



