その日の夜。幾田さんから予告動画が送られてきた。
予告されたのは、池谷くんと戸上さんだった。
当然私は動画を再生することはなく、そのままスマホを閉じて夜を過ごした。
もちろん安心できるわけもなくて、自分が眠れていたのかどうか分からないほど曖昧な朝がやってきた。
確認のためにちづと前園さんに連絡をすると、予告された池谷くんと戸上さんを含む11人が昨夜は動画を開かなかったようだ。
もし、今日1日何事も起きなかったから、私が発見した動画のカラクリは合ってるということになる。
私は心が落ち着かないままその日を家で過ごし、あっという間に夜がきて日付が変わっても、池谷くんと戸上さんは制裁されることはなかった。
そして、次の日。ちづが戸上さんを連れてうちにやって来た。
戸上さんはどうやら眠れなかったようで、目の下にくまができていたけれど、すごく元気そうだった。
「木崎さん、本当にありがとう」
戸上さんはわざわざ美味しいと評判のシュークリームを駅前で買ってきてくれていた。
「ううん、私はなにも」
「動画を再生しない、なんて簡単なことだけど誰も思い付かなかった。私が今生きてるのは木崎さんのおかげよ。本当になんてお礼を言っていいか……」
緊張の糸が解けた戸上さんは泣いていた。
とりあえず私の部屋に案内して、戸上さんが持ってきてくれたシュークリームをみんなで食べることにした。



