「あとは戸上さんと池谷くんだよね?」
「たぶん井口はサッカー繋がりで池谷の連絡先を知ってるから大丈夫だと思うよ。戸上さんは……」
「あ、ちづが連絡先知ってるって!」
「じゃあ、これでとりあえず残ってる11人には動画を絶対に再生するなってことは伝わったね」
「うん」
でも、これが成功する保証はない。
それに万が一この行為で幾田さんの感情を逆撫でしてしまったら?私のせいでもっと悲惨な事態になるかもしれない。
「大丈夫だよ」
私の顔色を読んだみたいに前園さんが言った。
「こういうのは行動することに意味があると思う。木崎さんは勇気がある人だし、私には絶対に真似できないからすごく尊敬する」
「……前園さん」
「公園で私は花火をやらなかったけど、木崎さんをかばったりはしなかった。……私は本当に自分のことばっかり」
前園さんが申し訳なさそうに眉を下げるから、私は全力で首を横に振った。
自分よりも他の人を優先できる人は少ない。私もそんなできた人間ではないし、自分を守るためについた嘘もある。
けれど、大切なのはそこに罪悪感を感じるかどうかで、前園さんは感じることができる優しい人。
「そろそろ帰ろうか」と、前園さんが歩き出したところで、私は引き止める。
「ま、前園さんのライン。友達追加したいんだけどいい?」
「……え?」
「ダ、ダメかな」
自然と小さくなる私の声に、前園さんはクスリと笑った。
「いいよ」
そして、私のスマホに前園さんの連絡先が登録された。



