おそるおそる覗き穴から確認すると、そこにはちづが立っていた。
「どうしたの?」
私はガチャリと玄関のドアを開ける。
「へへ、遊びにきちゃった。上がってもいい?」
「うん。どうぞ」
ちづを招き入れたあと、むぎ茶を用意して私の部屋へと向かった。
「ありがとう。喉カラカラだったんだ」
ちづは笑ってむぎ茶を一気飲みした。
世間では夏休みに突入して、友達と遊んだり家族旅行に行ったりと学生たちは有意義な生活をしている。なのに私は夏の暑さも匂いも最近は感じる余裕がない。
「……動画見た?」
私がそう尋ねると、ちづの表情が曇った。
「ううん。まだ。ひとりじゃ見る勇気ないし、なんか家にいるのも怖くなっちゃってあずの家に来たんだよね」
きっとそうだろうと思ってた。
ちづとは高校からの付き合いだけど、こんなにも一緒にいて安らぐ友達なんて今までいなかった。
だから、勝手に親友だって思ってるし、ちづがなにを思ってるのか表情を見るだけでなんとなく分かる。



