「も、もう一軍とか関係ない。お前たちがやり始めたいじめなんだからお前たちが死ねばいいんだよ!」
「調子に乗ってんじゃねーよ」
森元が躊躇することなく乙部くんを殴り、彼の身体はそのまま床へと倒れた。
「つーか乙部。お前さ、幾田の家がやってる店の商品万引きしてきたことあったよな」
「そ、それは……」
「120円のシャーペンだっけ?それ十分、幾田にして見れば嫌なことだったんじゃねーの?」
「違う。それは幾田さんの家だって知らなくて……」
「どっちにしても真面目ぶって影では万引きしてるお前に、俺らのことをどうこう言う資格なんてないと思うけど」
「……っ」
乙部くんはそれ以上なにも言えなくなってしまった。
森元は人の弱さを見つけるのがうまい。喧嘩だけじゃなく口も達者だから逆らったところでこうして丸め込まれてしまうのだ。
「そうやって私たちを下に見るのはやめてよ!」
次に反論したのは、河口さんだった。
「たしかに私たちは幾田さんになにもしてないわけじゃない。でも私たちが標的にされるのはおかしいでしょって話なの」
「あーあ、せっかく終わりそうだった話を戻さないでよ。面倒くさいなあ」と、畑さんがため息をはく。
「そもそもA組の女子が幾田さんになにかをしたり、物を盗んだりしたことは麻生さんや畑さんたちにやれって言われたからでしょ。私だって机にわざとジュースを溢すように命令された」
河口さんが涙ながらに畑さんたちのことを見る。



